(1) これまでの傾向

特許発明よりも低い程度の創作を「考案」といい、この考案を保護する制度が実用新案制度です。
一時は、特許の影に隠れて、軽視されていた傾向にあります。特に、出願すれば審査を行わずに登録してしまう無審査制度を採用し、権利期間もそれまでの10年を4年に短縮するという改正がなされて、廃止されるのでは?という方向に向かっていました。

(2) 利用価値の向上

しかし実業界からの要望があり、平成17年4月1日に次のように改正されました。
その結果、権利行使に対する制約が緩和されたりして、特に商品寿命の短い商品には利用価値がでてきました。

  1. 請求項の減縮,訂正が可能となりました。その結果、「公知技術からきわめて容易に考案できた」、という評価が出た場合に、請求項の記載を減縮して逃げることが可能になりました。
  2. 存続期間が出願日から10年間となり、権利行使できる期間が延長しました。(ただし制限があります)
  3. 特許への変更も可能となりました。したがって出願した後に、製品が予想以上の商品寿命を持ちそうな場合には特許へ変更してさらに権利期間を延長(出願日から20年)することができます。(ただし制限があります)
  4. 技術評価の理由を審査官が説明することになりました。したがってその理由が分かれば、請求項を減縮したり訂正して対応することが可能になりました。
  5. 調査機関が拡大して、民間の調査機関も使えるようになり、調査の信頼性が向上するだろう、といわれています。

(3) 改正された利用価値

  • 請求項の減縮,訂正が可能となりました。その結果、「公知技術からきわめて容易に考案できた」、という評価が出た場合に、請求項の記載を減縮して逃げることが可能になりました。
  • 存続期間が出願日から10年間となり、権利行使できる期間が延長しました。(ただし制限があります)
  • 特許への変更も可能となりました。したがって出願した後に、製品が予想以上の商品寿命を持ちそうな場合には特許へ変更してさらに権利期間を延長(出願日から20年)することができます。(ただし制限があります)
  • 技術評価の理由を審査官が説明することになりました。したがってその理由が分かれば、請求項を減縮したり訂正して対応することが可能になりました。
  • 調査機関が拡大して、民間の調査機関も使えるようになり、調査の信頼性が向上するだろう、といわれています。

(4) 改正点の比較

  改正前 改正後
権利期間 出願日から6年 出願日から10年
特許出願への移行 登録後はできない。
(登録まで半年程度)
登録後もできる。
ただし条件あり*1
訂正 請求項の削除のみ可能。
時期、回数制限無し。
請求項の訂正が可能。
ただし条件あり*2
登録料(請求項10)
(最初の3年分)
43,800円 9,300円
(印紙代だけ、手数料は含みません)

*1 特許出願へ移行できる条件
(1) 実用新案の出願日から3年以内。
(2) 自分で技術評価書を請求していないこと。(評価書の請求時には注意)
(3) 他人から技術評価の請求された場合には、特許庁からの通知があってから30日以内。
(4) 無効審判の請求があった場合には、最初の答弁書の提出期間 内。
(5) 特許出願へ変更したら審査請求期間(出願日から3年以内)に注意。

*2 訂正の条件
(1) 登録から一定期間後。
1) 最初の評価書の謄本送達日から2ヶ月以内。
2) 無効審判の最初の答弁書提出期間。
(2) 請求項の減縮、誤記の訂正、記載の釈明に限る。違反は無効理由。
(3) 1回限り。ただし「請求項の削除」は改正後も時期、回数の制限なし。
(4) 技術評価書が必要な場合には訂正後に改めて行う。

その他の詳細についてはお問い合わせください。

実用新案登録までにかかる概算費用 令和6年度版