社員数人の不動産会社が「日航」とは

日本航空の略称である「日航」の表示を含む商号を使用する会社が、「日航」を使用することを差し止められ、また、商号の抹消登記手続きを言い渡されました。


日航住版株式会社とは?
日航住販株式会社とは、平成元年10月に資本金1千万円で設立され、居住用不動産の売買の仲介業務をしています。当初はJR佐倉駅前の本店で営業を開始。経営はその後順調に推移して、成田支店、ユーカリが丘支店、木下支店の3店を加え、社員15名で営業を行っています。
そして、今回問題になったJRLのロゴマークを使用しています。


ご存じ「日航」とは?
日本航空株式会社は、昭和28年10月1日に設立され、航空運送事業及びこれに関連する航空機整備事業、倉庫業や通関業、ホテルの経営などを営む多角的事業会社。平成4年3月31日時点において、子会社及び関連会社合計252社を擁するJALグループの中核会社です。
平成2年度の売上高は、1兆1188億8300万円。日本国内のみならず世界各地に支店または営業所を設け、「日本航空」、「日航」、または「JAL」の名称のもとに営業活動を行い、日本国民ばかりでなく世界的にも広く認識されています。
また、昭和62年に日本航空株式会社法が廃止されて、情報産業、不動産業、建設業、スポーツ・レジャー産業、リース業、教育・出版業等の多岐にわたる事業に積極的に取り組んできました。


日航の主張
この日本航空が日航住販を訴えました。
日航住販が「日航」という名称を使用していると、日航グループの一員と誤認混同されるという理由からです。日航住販の店舗がいずれも、日航の国際線の主要基地である成田空港から近いことも、理由のひとつです。混同されることで、日航が長年にわたって培い育んできた信用及び営業上の利益が著しく毀損される恐れもあります。

そのため、日航は日航住販に対して、再三文書または口頭で「日航」の名称の使用を中止するよう求めましたが、日航住販は拒絶。日航はやむなく、日航住販と日航とは一切関係のない会社である旨の注意を喚起する新聞広告を掲載したこともあります。
また、日航住販は一見には酷似しているJALのロゴマークを使っていました。日本航空からの使用中止を受けて別個のロゴマークを採用しました。しかし本店のシャッター部分や、電柱に設置された看板広告、店舗内に掲示されたチラシなどには依然、使用を続けていました。


日航住販の主張
日航住販は、次のように反論しました。

  1. 日航と子会社・関連会社はグループ共通の営業表示として「JALグループ」という名称を使用しており、「日航グループ」という表示はしていない。
  2. 「日航」の名称を冠した日航のグループ企業でない会社も存在することから、「日航」という名称には標識力がない。
  3. また、日航住販と日航及び関連グループとでは、営業内容も規模も顕著な差があるので、混同される恐れはない。

そして、判決
判決では、「日航住販株式会社」の商号の使用を差し止め、商号の抹消登記手続きを言い渡されました。
主な理由は次のとおりです。

  1. 「JALグループ」という名称が日航とその関連グループの名称で、「日航グループ」という名称は存在しないとしても、日航は世界的に広く認識された会社である。だから、日航住販は日航の関連会社の一員、というように誤認認識される恐れが高い。
  2. 日航住販は新聞の折り込み広告の中でわざわざ、「当社は航空関連会社とは一切関係ありません」と注書を付けている。このことは日航住販自身、日航の関連会社の一員である、と誤認混同することを自認していることにほかならない。

やはり、タダ乗りはまずいですよね。